戦争とは何か

戦争と聞くと、多くの人はある国の軍隊が別の国の軍隊と戦場で向かい合う姿を思い浮かべるでしょう。けれども、それは物語の一部にすぎません。戦争とは武力紛争の一形態であり、国家同士のあいだだけでなく、政府の軍事組織と、指揮系統をもち長期的に軍事行動を継続できる組織化された武装集団とのあいだでも起こりえます。

この区別には意味があります。つまり、戦争は古典的な「国家対国家」の戦闘だけに限られないということです。政府が、指導部や組織構造をもち、散発的な攻撃ではなく継続的に戦闘を続ける力を備えた武装運動と戦っている場合も、戦争とみなされることがあります。言い換えれば、戦争は制服や国境だけの問題ではなく、その規模、組織性、そして持続する暴力という側面が重要なのです。

あらゆる暴力の発生が戦争になるわけではありません。戦争を戦争たらしめているのは、その広がりと激しさです。戦争は一般に、広範囲に及ぶ暴力、破壊、そして大量の死によって特徴づけられます。それは短時間で終わる小競り合いではなく、社会を破壊し、長く尾を引く大規模な紛争なのです。

戦争は、国家の正規軍のような正規軍事組織によって戦われることもあれば、不正規の武装勢力によって戦われることもあります。不正規勢力には、通常の国家軍のようには行動しない戦闘員が含まれます。エピソードでは民兵やゲリラ組織が言及されていますが、これは、戦争にはさまざまな形態の組織化された武装アクターが関わりうる、というより広い考え方に合致します。

戦争の目的もまた、その本質を理解する手がかりになります。戦争の目的は、たいてい政治的・経済的・領土的なものです。

政治的目的とは、権力や権威、統治のあり方に関わるものです。経済的目的は、富や資源、経済上の譲歩などをめぐるものです。領土的目的は、征服や支配、防衛など、土地そのものをめぐるものです。

研究者たちは、戦争目的を「紛争に勝利したのちに期待される利益」として説明してきました。領土の獲得や経済的譲歩の獲得といった目に見える目的もあれば、評判や信頼性、威信の向上といった、目に見えにくい目的もあります。戦争目的は、公然と掲げられるものもあれば、非公開の会合や指示のなかに暗黙に含まれるものもありえます。また、戦争の進行とともに変化していくこともあります。

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国家、政府、組織化された武装集団

戦争を理解するうえで重要な点のひとつは、当事者が必ずしも二つの国家である必要はないということです。戦争は次のようなあいだで起こりえます。

  • 国家の軍隊同士
  • 政府側の部隊と組織化された武装集団
  • 指揮系統のもとで戦う組織化された集団同士

ここで鍵となるのは、「一定の指揮系統のもとで組織され、軍事行動を継続できる」という点です。つまり、単なる散発的な群衆ではなく、指導部と調整能力をもち、時間をかけて戦闘を続ける体制を備えた集団だということです。

この考え方によって、戦争は、局地的な騒擾や犯罪的暴力、単発の攻撃などから区別されます。組織化されているからこそ、紛争に継続性が生まれます。軍事行動が持続的に行われているということは、暴力が一時的・偶発的なのではなく、一定の構造と計画に基づいて続いていることを意味します。

このような広い定義は、現代の戦争が必ずしも大国同士の単純な激突ではない理由を説明するうえでも役立ちます。1945年以降、大国間戦争、領土征服、正式な宣戦布告の件数は減少してきました。しかし、それは戦争そのものの減少を必ずしも意味していません。1945年以降、内戦は絶対数として増加しており、戦闘の多くは内戦や反乱(インサージェンシー)として行われるようになっています。

インサージェンシーとは、既存の政治秩序を変えようとして、不正規の武装勢力が権威に対して武装蜂起することを指します。これは、戦争が従来の「国家対国家」の戦いを超えて広がっている、もっとも分かりやすい例のひとつです。

正規軍と不正規勢力

「正規軍」あるいは「不正規軍」という表現は、戦争の戦われ方について重要な示唆を与えてくれます。

正規軍とは、国家の標準的な軍隊のことです。通常、明確な指揮系統と役割分担を備えた正式な制度組織として存在します。

不正規勢力は、これとは異なるやり方で活動します。見た目は正規軍のようでなくとも、戦争において重要な役割を果たしうる存在です。彼らは民兵やゲリラ、反乱勢力として戦うことがあります。重要なのは、彼らが正規軍のイメージに合致するかどうかではなく、組織化され、継続的に軍事行動を行う能力を持つかどうかです。

こうした事情から、「戦争(warfare)」という言葉はきわめて幅広い概念になります。warfare とは、一般的な戦争全般、あるいは特定の種類の戦争に共通してみられる諸活動や特徴を指します。そこには、さまざまな紛争に共通する方法、戦略、パターンが含まれます。

戦争のあり方には多くの類型があります。たとえば、戦力や規模に大きな差がある当事者同士が戦う「非対称戦争」や、いわゆる通常戦(正規軍同士の戦い)の枠外で行われる軍事・準軍事作戦を含む「非正規戦」などです。これら多様な形態が存在することは、戦争がひとつの固定された型ではないことを示しています。

戦争はなぜ行われるのか

戦争は、その様式や規模こそさまざまですが、その目的は多くの場合、政治的・経済的・領土的なものに集約されます。

政治的目的には、権力の構造を変えること、体制に抵抗すること、勢力関係を再編することなどが含まれます。経済的目的には、富や資源へのアクセス、有利な条件の獲得などがあります。領土的目的は、土地の保持・獲得・防衛に直接関わるものです。

これらの動機は重なり合うこともあります。領土紛争はしばしば経済的な争いでもあり、政治的な対立が資源支配をめぐる問題と結びつくこともあります。また、当初はある目的で始まった戦争が、状況の変化にともなって別の目的を帯びるようになる場合もあります。

戦争目的は、「獲得」を目指すポジティブな目標と、「何かを阻止する」ことを目指すネガティブな目標に分けることもできます。ポジティブな目的は、領土や譲歩など目に見える成果を求めるものです。ネガティブな目的は、望ましくない結果を防ごうとするものです。場合によっては、国家やその他のアクターが、自らの最低限の和平条件が満たされるまで戦闘を続けることもあります。

こうした事情が、戦争が長期化しうる理由の一端を説明しています。一方が、自分たちの政治的・経済的・領土的な目的がまだ達成されていないと考えるかぎり、戦争を終わらせることは難しくなるのです。

歯止めなき戦争:総力戦

戦争のなかでもとりわけ破壊的なのが「総力戦」です。総力戦では、攻撃対象がいわゆる正当な軍事目標に限定されません。その結果、民間人やその他の非戦闘員が甚大な苦しみと犠牲を強いられることがあります。

総力戦が恐ろしいのはこの点にあります。戦闘が軍隊や前線の戦場だけにとどまらず、戦争への総動員が社会全体に及び、その影響が戦闘員以外の人々にも大きく広がるのです。

定義上、攻撃が軍事目標のみに限定されない可能性があること、そして民間人にとっての打撃が計り知れないものになりうることが強調されます。民間人とは戦闘員ではない人々、すなわち軍人として戦闘に参加していない人々を指します。非戦闘員には、民間人のほか、正当な軍事目標とはみなされない人々が含まれます。

その代償はしばしば壊滅的です。一般に戦争は、インフラの大規模な破壊、生態系の悪化、飢饉、大量の移住、捕虜や民間人への虐待などを引き起こす可能性があります。紛争地では日常生活が中断され、移動は困難になり、地域全体が深刻な危機に追い込まれることもあります。

戦争の矛先が軍事目標からそれ以外へと広がると、人々の苦しみはいっそう増幅します。だからこそ、戦争における「限度」という考え方は、倫理や国際法のうえで極めて重要なのです。

戦争の人間的代償

総力戦以外であっても、戦争の人間的帰結は深刻です。戦争は組織化された暴力だけでなく、広範囲に及ぶ破壊と死によっても特徴づけられます。

軍人は、身体的な負傷や疾病、精神的外傷、そして死の危険にさらされます。民間人は、インフラや生活資源の破壊、健康状態の悪化、飢餓や疾病、飲料水のような基本的ニーズへのアクセス低下に直面します。戦争地帯は、普通の生活が粉々に壊される場所になりえます。

戦争による死者数の規模は、歴史を通じて大きく変動してきました。推計には幅があるものの、戦争が途方もない数の命を奪ってきたことは疑いありません。第二次世界大戦は、開戦以来の累積死者数でみて、歴史上もっとも犠牲者の多い戦争とされており、その死者数は約7,000万〜8,500万人と見積もられています。

同時に、長期的な傾向はより複雑です。1945年以降、戦場での死傷者数は、兵器の進歩にもかかわらず、軍事医療の発達などの要因により減少してきました。しかし、戦争そのものが消え去ったわけではありません。むしろ多くの紛争のかたちは変化し、内戦やインサージェンシーがとくに目立つようになっています。

戦争は変化してきたが、なくなってはいない

戦争のあり方は歴史を通じて何度も変化してきました。国家の成立、金属製武器の普及、火薬の発明、そして加速する技術革新は、いずれも戦争の様相を大きく変えてきました。

近代におけるもっとも明確な変化のひとつは、戦争がもはや大国間の正式な衝突を中心としたものではなく、国内の紛争や不正規戦を中心とするものになってきたことです。1945年以降の戦争パターンを見ると、大国間戦争や正式な宣戦布告は減る一方で、絶対数としての内戦は増えています。

したがって、「ある国家が別の国家を攻撃する」というイメージは依然として重要ではあるものの、それだけでは現代の戦争の全体像を捉えきれません。現代の戦争には、政府、反乱勢力、組織化された武装集団、長期化する国内紛争など、多様な主体と形態が関わっているのです。

戦場の向こう側まで見てはじめて「戦争」がわかる

戦争とは何かを理解するには、その概念を本質までそぎ落として考えることが役立ちます。戦争とは、組織化された武装勢力によって、持続的な規模で行われる武力紛争です。広範囲に及ぶ暴力、破壊、死をもたらし、国家や政府、反乱勢力、民兵、その他の組織化された武装集団が関与しうるものであり、その多くは政治的・経済的・領土的な目的のために戦われます。

そのもっとも冷酷な形が、戦争の歯止めが失われ、民間人が大規模な被害を受ける総力戦です。しかし、戦闘が比較的限定されたかたちで行われる場合でも、その影響は戦闘員をはるかに超えて広がります。

戦争とは、単に軍隊同士が衝突することではありません。それは、人々の暮らしと社会、そして歴史そのもののかたちを作り変えてしまう、構造化された紛争のかたちなのです。

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