人間の居住地

人間の居住地(ヒューマン・セトルメント)とは、人々がコミュニティとして一緒に暮らしている場所のことです。一見単純に聞こえますが、その範囲は非常に広大です。数軒の家が一か所に寄り集まっただけの場所もあれば、巨大な都市とそれを取り囲む広大な市街地を含むこともあります。日常的な言い方をすれば、自営農家の屋敷、集落、村から、町や都市までをすべて含んだ概念です。

居住地が興味深いのは、単に家がまとまっているだけではない点です。そこは、人間のニーズや移動、労働、歴史によって形づくられた「生きている景観」です。人々がどこにとどまることを選び、どのように空間を整理し、日常生活を成り立たせるために何を築いたのかを示しています。

理解しておきたい重要な点の一つは、居住地は必ずしも大きくある必要はないということです。小さな家のまとまりも、大都市と同じように居住地とみなされます。この用語は、特定の場所に暮らす人々の共同体そのものを指しているからです。

この幅広い定義は、地理学や統計学、考古学などで重要な意味を持ちます。人の居住を、さまざまなスケールで記述できるようにしてくれるからです。居住地は農村的であっても都市的であってもよく、コンパクトでも分散的でも、古くても新しくてもかまいません。家屋や建物が広い範囲に散らばっている「分散型」の居住地もあれば、建物が密集している「集中型」の居住地もあります。

こうしたパターンは、景観史(ランドスケープ・ヒストリー)が扱うテーマの一部です。この分野では、居住地の形態、つまり「モルフォロジー(形と配置)」に注目します。分散しているのか集中しているのかを見ることで、人々がどのように土地を利用し、共同体の生活を組織していたのかが見えてきます。

居住地は、「居住地階層(セトルメント・ヒエラルキー)」として格付けされることもあります。これは、規模や重要性、中心性にもとづいて場所を序列化する考え方です。ここでいう中心性とは、周囲の地域に対する中心として、その場所がどれほど重要かという意味です。ただし、これらの呼び方は世界共通ではありません。ある国で「町」と呼ばれる場所が、別の国では「村」とみなされることもあれば、別の地域では大きな「町」が「都市」と扱われることもあります。

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居住地は家だけではない

居住地と聞くと、多くの人はまず住宅を思い浮かべるでしょう。しかし、慣例的には居住地には住宅以上のものが含まれます。日々の暮らしを支え、周囲の土地の姿を形づくる人工的な要素全体を含むのです。

そこには、人や物の移動と連絡のための道路、土地利用に結びついた囲い地や耕地の区画、空間を区切る土塁や堀、池や公園、森林、風車や水車、荘園領主の邸宅、防御用の濠、教会などが含まれます。言い換えれば、居住地とは人間がつくり上げた環境の一まとまりなのです。

一部の用語は古めかしく聞こえるかもしれませんが、これらを見ていくと、この概念がいかに幅広いかがよくわかります。

つくられた景観を理解する

道路の役割は想像しやすいですが、他の要素も説明が必要です。囲い地(エンクロージャー)は、特定の用途のために区切られた土地のことです。耕地の区画体系(フィールド・システム)は、共同体の周囲に広がる農地の組織的なパターンを指します。土塁や堀は、土地を区分したり境界を示したりするための土木構造物や掘り込みです。

風車や水車は、風や流水の力を利用するための建造物でした。マナーハウス(荘園領主の館)は、土地所有を伴う大きな邸宅です。濠(モート)は、建物や敷地の周囲にめぐらされた溝で、多くの場合水が満たされています。教会は宗教的な役割だけでなく、居住地の中で重要なランドマークとなることも少なくありませんでした。

これらの要素をまとめて見ると、居住地は人が眠る場所であるだけでなく、人が働き、移動し、祈り、土地を管理し、コミュニティを長期的に支える仕組みを築く場所であることがわかります。

そのため、地理空間の予測モデリングでは、居住地は「人々が暮らし、働く建物群の集まりとしての都市、町、村、その他の集積地」として定義されます。ここでいうアグロメレーション(集積)とは、建物や人が一か所にまとまっていることを意味します。

居住は移動から始まる

居住のプロセスは、人間の移動(移住)を伴います。人々が定住する前には、必ずどこかからその場所へ「やって来る」という段階があるのです。この「移動」と「定着」の結びつきは、居住の歴史における最も基本的な要素の一つです。

居住地には、いつごろ最初に人が住み始めたのか、また特定の人々がいつそこに定住したのかといった、歴史的な性格づけがなされる場合もあります。つまり居住地は、地図上の地点であるだけでなく、人類史のある一瞬を切り取った存在としても追跡できるのです。

人類の居住地に関する最古の地理学的証拠は、ジェベル・イルフードから見つかった8人分の初期の現生人類の遺骸で、中期旧石器時代のおよそ30万年前にさかのぼるものです。人が建設した住居として最古の遺構は、ガリラヤ湖近くのオハロ遺跡(現在は水没)で見つかった、紀元前1万7,000年ごろの泥と枝でできた小屋です。その後、ナトゥーフ文化の人々が、紀元前1万年ごろにレバント地方に家屋を建てました。農耕の発明以降は、村のような居住地がはるかに一般的になり、最古の例としてはイラクのジャルモが知られています。

これらの事例は、「初期の人の存在」から「建てられた住居」、「家屋」、そして農業による生活様式の変化を経た「一般的な村落生活」へと続く、長い発展の流れを示しています。

居住地が消えてしまう理由

すべての居住地が生き残るわけではありません。中には姿を消してしまうものもあり、その理由は劇的なこともあります。戦争、侵食(浸食)、大帝国の崩壊などは、居住地の放棄を招く要因になり得ます。失われたこうした場所には、考古学的に貴重な遺物が残されていることが多いのです。

遺物とは、過去に由来する物体や遺構、痕跡のことです。考古学では、こうした遺物から、人々がかつてどのように暮らし、建て、働き、共同体を組織していたのかが明らかになります。だからこそ、放棄された居住地は重要なのです。ただの空き地ではなく、人間の生活の記録だからです。

実際、「放棄された居住地(abandoned populated places)」という用語は、一部の地理データベースでは公式な区分名として使われています。中には、廃虚となった町(ゴーストタウン)のように、構造物が比較的容易にアクセスできる状態で残っている場合もあります。ゴーストタウンとは、建造物がそのまま残っている放棄された居住地で、観光地となるところもあります。

居住地がゴーストタウンになる理由もさまざまです。その場所を支えていた経済活動が成り立たなくなることもあれば、ダム建設による水没のように、政府の事業によって立ち退きを迫られるケースもあります。洪水などの自然災害や、人為的な災害、無法状態、戦争などによって、人々が離れていかざるを得なくなることもあります。

興味深いことに、見かけはゴーストタウンのようでも、行政上は依然として「居住地」と定義されている場合があります。また、住民が大幅に減っただけで完全には無人化していない場所に対して、比喩的に「ゴーストタウン」という言葉が使われることもあります。

急速に都市化する世界の居住地

現代の人間の居住は、ますます都市中心になりつつあります。『World Urbanization Prospects 2025』によると、世界人口82億人のうち、現在は45%が都市に暮らしており、1950年の20%から大きく増加しています。さらに36%が町や半都市的な地域に暮らし、農村地域に住むのはわずか19%です。

同じ報告書は、2025年から2050年のあいだに世界人口がさらに約30億人増加し、その増加の3分の2が都市部で起こると予測しています。人口1,000万人を超える巨大都市(メガシティ)は、2025年には33都市に達すると見込まれており、これは1975年のおよそ4倍です。

同時に、1975年以降、建物の立ち並ぶ土地(市街地)は人口増加のほぼ2倍のペースで拡大してきました。一人当たりの都市土地利用は、主に経済活動やインフラ需要のために、44平方メートルから63平方メートルへと増えています。

これらの数字は、居住の問題が単に人口の総数だけではないことを浮き彫りにします。建造環境が物理的にどこまで広がるのか、という側面も同じくらい重要なのです。

居住地はどう数えられ、分類されるか

居住地の定義は、国や機関によって異なります。たとえばオーストラリアでは、「居住地(populated place)」は、名前が付けられ、かつ人口が200人以上の集落と定義されています。クロアチアでは、人口は「ナセリャ(naselja)」と呼ばれる居住単位で記録されます。スウェーデンでは、人口が密集している場所を「ローカリティ(localities)」と呼び、英語では一般的に「都市地域(urban areas)」と訳されます。

イギリスでは、国勢調査の分析において「アーバン・セトルメント(urban settlement)」という用語が都市地域を示すために使われています。スコットランドでは、「セトルメント」は人口密度や郵便番号エリアにもとづいて特定された、一つ以上の隣接するローカリティのまとまりとして定義されます。

アメリカ合衆国では、アメリカ地質調査所(USGS)が、居住地(populated places)、国勢調査区(census areas)、行政区画(civil divisions)を区別しています。居住地とは、都市、集落、町、村など、建物が固まっているか散在しているかにかかわらず、恒常的に人が住んでいる場所や地理的領域を指します。通常、法人格を持たず、法的な境界も定義されていません。国勢調査区は統計目的で引かれる区画です。行政区画は、郡やタウンシップ、ボロウのような政治的・行政的な単位です。

このような事情から、「居住地」という概念がつかみにくく感じられる理由も分かってきます。人々の暮らしの場としての「実際の場所」と、統計上の区域、法的な行政単位は、必ずしも一致しないからです。

人がどこに住んでいるかを地図にする

現代のテクノロジーは、居住地の研究方法を大きく変えました。地理空間の予測モデリングでは、人や建物が集まる場所として居住地を分析します。ジオスペーシャル(geospatial)とは、地球上の特定の位置に関わるという意味です。

この分野で重要なシステムの一つが、「Global Human Settlement Layer(GHSL)」です。この枠組みは、人間の存在を時間を通じて地球規模で空間的に示す情報を作成します。具体的には、市街地の分布図、人口密度図、居住地分布図などを生成します。

そのために、エビデンスにもとづく分析手法と、多様なデータソースを組み合わせます。高解像度の衛星画像や国勢調査データ、自主的に提供された地理情報(ボランティアによる地理データ)などが用いられます。処理は自動化されており、人口や市街地インフラについて、客観的かつ体系的な報告ができるようになっています。また、この枠組みは、データと手法の両方について、オープンで自由なアクセス方針を採っています。

このような地図化によって、いま人がどこに暮らしているかだけでなく、時間の経過とともに居住パターンがどのように変わってきたかも、より明確に見えるようになってきました。

居住地が重要である理由

居住地は、大地の上に刻まれた人類史を読み解く、最もわかりやすい手がかりの一つです。そこには、人の移動と定住、設計と労働、信仰、防衛、農業、成長と衰退が映し出されています。ごく小さな建物の集まりであれ、巨大な都市圏であれ、あらゆる居住地は、人々がどのようにその場所を「暮らせる場所」にしたのかを物語っています。

そして居住地が消えたときでさえ、その物語が完全に失われるわけではありません。道路や池、土手、教会、粉ひき小屋、廃墟といった形で、手がかりが残り続けます。繁栄している場所であれ、打ち捨てられた場所であれ、居住地とは、人間の共同体が残した足跡なのです。

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