太陽のかたち:なぜ太陽はほぼ完全な球なのか

太陽は太陽系の中心で燃えさかりながら自転する高温プラズマの球体です。そう聞くと、極付近がややつぶれて赤道付近がふくらんだ形をしていると考えるのが自然でしょう。回転する物体はたいてい真ん中が少しふくらむからです。ところが、太陽は驚くほど丸いことがわかっています。

観測によると、太陽の「ゆがみ」はわずか 100 万分の約 8.2 程度しかありません。この、ごくわずかな「丸さからのずれ」のことを扁平率(へんぺいりつ)といい、太陽の赤道半径と極半径の差で表します。この指標で見ると、太陽はこれまで観測された天体の中で、数学的に理想とされる完全な球に最も近い自然天体です。

これは、太陽が自転しているうえに、剛体のように一様に回転しているわけではないことを考えれば、なおさら驚くべき事実です。

科学者が太陽の形を議論するとき、ふつうは赤道方向の半径と極方向の半径という 2 つの距離を比べます。赤道半径のほうがわずかに大きければ、太陽は上下に少し押しつぶされた「扁平(オブレート)」な形をしていると言えます。

太陽の場合、この扁平さは極めて小さいものです。測定された扁平率はおよそ 8.2 × 10−6、つまり約 100 万分の 8 程度にすぎません。平たく言えば、太陽は理想的な球から、ほんのわずかしか外れていないということです。

これは太陽の巨大さを考えると、なおさら際立ちます。太陽の直径は約 139 万 1,400 キロメートルで、地球の約 109 倍あります。これほど巨大で、しかも回転し続けているにもかかわらず、見かけの太陽本体はほとんど完全な球形を保っているのです。

回転する物体がふくらみやすい理由

想像以上に「完全な球」に近い

回転は、物体を赤道方向にふくらませる傾向があります。回転している天体では、赤道付近の物質が最も速く動くため、外向きの力が強まり、わずかなふくらみが生じるのです。

太陽も自転していますが、その自転は一様ではありません。太陽の赤道は極よりも速く回転しており、これは「差動自転」と呼ばれます。恒星に対して測った場合、赤道付近の自転周期は約 25.6 日、極付近では約 33.5 日です。地球から見た見かけの自転周期は、赤道付近で約 28 日になります。

この不均一な自転は、熱い物質が上昇し冷たい物質が沈む「対流運動」と、自転によって生じるコリオリ力と関係しています。内部でこれだけ複雑な運動が起きているなら、もっとはっきりとした変形があってもよさそうなものです。ところが、実際の太陽のふくらみは信じられないほど小さいのです。

太陽の形の測定は意外と難しい

回転しているのに、それでも意外

太陽が丸いかどうか確かめるだけなら簡単そうに思えるかもしれません。空にはっきりした明るい円盤として見えているからです。しかし、高精度でその形を測るのは非常に難しい作業です。

ひとつの問題は地球の大気です。大気によるゆがみやぼやけが観測を乱すため、最も精密な測定は衛星から行う必要があります。さらに、測ろうとしている効果そのものが極めて小さいため、観測機器と手法には並外れた精度が求められます。

太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー」や「ピカール」衛星による高精度測定の結果、太陽の扁平率は予想よりもさらに小さいことが分かりました。これにより、太陽が数学的に理想的な球にどれほど近いかが、はっきり示されたのです。

太陽には「はっきりした縁」がない

太陽はほとんど完全な丸

測定を難しくしている理由のひとつは、太陽がくっきりとした表面を持つ固体の球ではないことです。太陽には明確な境界がなく、光球より高い層にいくほど密度が徐々に下がっていきます。

光球は、太陽の「表面」と見なされる層で、太陽光の大部分がここから宇宙空間へ放たれます。科学者が太陽の半径を定義して形を測るときは、通常、中心から光球の見かけ上の縁までの距離を指します。

つまり、太陽の「表面」という概念自体が、厳密な殻ではなく、観測上の便宜的な定義なのです。それにもかかわらず、丸さがここまで精密に測定されていることは、いっそう驚くべきことだと言えます。

史上最も「球に近い」自然天体

結論はきわめて際立っています。太陽は、これまで観測された自然天体の中で、完全な球に最も近い存在です。

これは単なる比喩ではなく、実際の扁平率の測定結果に基づく事実です。太陽の形は非常に安定しており、放射するエネルギー量(太陽放射)が変化しても、扁平率はほぼ一定のままです。つまり、太陽の出力変動は、その全体的な丸さをほとんど変えないのです。

惑星の重力の影響もごくわずかです。惑星による潮汐効果は弱く、太陽の形状には大きな影響を及ぼしません。惑星の重力によって太陽が太陽系の重心の周りをわずかに動かされてはいても、その輪郭を目立ってゆがめることはないのです。

なぜこれは天文学で重要だったのか

かつて太陽の形は、天文学の大きな謎のひとつ「水星の近日点移動」と結びついていました。

水星は、公転のたびに太陽への最接近点(近日点)がまったく同じ場所になるわけではありません。この最接近位置が少しずつずれていく現象が、近日点移動です。かつては、太陽の扁平率が十分に大きければ、この運動を説明できるのではないかと考えられていました。

しかしアルベルト・アインシュタインは、太陽が完全な球であったとしても、一般相対性理論によって水星の近日点移動を説明できると提案しました。その後、高精度の観測で太陽の扁平率が予想より小さいことが判明し、「太陽の形で説明する」という可能性はさらに弱まりました。太陽の形状だけでは、この効果を説明しきれなかったのです。

こうして太陽のほぼ完全な丸さは、ある仮説を退けると同時に、重力に対するより深い理解を後押ししたと言えます。

回転し、かき混ざりながら、それでも丸い星

太陽の内部は決して静かではありません。中心核では核融合が起こり、ほとんどすべてのエネルギーがここで生み出されています。その外側には放射層があり、エネルギーは主に放射によって外側へ運ばれます。さらにその外側には対流層が広がり、熱いプラズマが上昇し、冷えたプラズマが沈む運動が常に続いています。

表面付近では、こうした対流運動が「粒状斑」と呼ばれる斑点模様として観測されます。太陽には時間とともに変化する磁場もあり、これは太陽活動周期にともなって変動します。黒点、太陽フレア、コロナ質量放出、太陽風などは、いずれも活動的でダイナミックな恒星としての顔を示しています。

それにもかかわらず、内部の激しい対流、差動自転、磁気活動がある中で、太陽全体の形はほとんど完全な球のまま保たれているのです。

この対比こそ、太陽をいっそう魅力的な天体にしています。内側では絶えず沸き立ち、複雑な磁場構造を持つ活動的な星でありながら、外から見た幾何学的な形は信じられないほどなめらかで均一なのです。

太陽は惑星のような「固体の球」ではない

太陽の形が直感に反するように感じられる理由のひとつは、私たちがしばしば太陽を「巨大な固体のボール」のようにイメージしてしまうからです。しかし太陽は主に水素とヘリウムから成り、その見かけの表層はイオン化した粒子からなる高温のプラズマ状態です。

光球には水素とヘリウムがほとんどを占め、酸素、炭素、ネオン、鉄など、より重い元素はごく少量しか含まれていません。太陽は約 46 億年前、分子雲の物質が重力で収縮して誕生し、現在は G 型主系列星として安定して輝いています。

太陽の中心核では、毎秒およそ 6,000 億キログラムもの水素がヘリウムへと核融合し、そのうち約 40 億キログラム分がエネルギーへと変換されています。そのエネルギーが層を通って外側へ運ばれ、最終的に放射として宇宙空間へ放出されます。

一見すると単純な球のように見える天体は、実は、融合反応によって駆動され、エネルギーと物質の複雑な流れに支配された、巨大で高温な多層構造の星なのです。

丸いが、けっして静止してはいない

太陽はほとんど完全な球ではありますが、決して静止しているわけではありません。北極側から見て反時計回りに自転し、天の川銀河の中心の周りを平均秒速約 230 キロメートルで公転しています。また、惑星の重力を受けて、太陽系の重心の周りもわずかに運動しています。

さらに、太陽の大気は見えている円盤のはるか外側まで広がっています。光球の上には彩層とコロナがあり、その外側には太陽風が吹き出して「ヘリオスフィア」と呼ばれる広大な領域を満たし、宇宙空間の巨大な範囲を支配しています。

こうした事実を踏まえると、太陽がこれほどまでに丸い形を保っていることはなおさら驚きです。太陽は固定された球ではなく、自転し、進化し、膨大なエネルギーを生み出し続ける星であり、巨大な大気と強力な磁気活動を備えたダイナミックな天体なのです。

太陽の形が教えてくれる意外な教訓

太陽は、身近な天体であっても、見かけ以上に不思議に満ちていることを教えてくれます。

地球から見れば、太陽は単なる光る円に見えます。しかし、精密な観測が明らかにするのは驚くべき事実です。赤道と極で自転速度が違い、対流や磁場、荒々しいプラズマ内部を抱えながらも、太陽はほとんど完全な球形を保っています。

その扁平率はわずか 100 万分の約 8。あまりに小さなこのつぶれ具合のおかげで、太陽はこれまで知られている中で、最も理想的な球に近い自然天体として位置づけられています。

地球の生命を支え、気候や天気を左右し、太陽系の質量のほとんどを占めるこの星が、そんな特別な性質をも秘めていることは、私たちが太陽を見上げるとき、もうひとつ新たな驚きと敬意を抱かせてくれます。

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